2020年はコロナ禍でレースキャンセル・延期が続いたMTB WORLD CUP。XCOは9月末~10月初のチェコ2連戦のみという超変則スケジュールでしたが、オリンピックイヤー(仮)となる今シーズンは今週末5/7-9に開幕です。選手の移籍も多く、楽しみ過ぎるので個人的な注目ポイントをまとめてみました。

開幕戦の舞台はドイツ・Albstadt

前回開催の2019年、レース前にはAnton Cooper(TREK)に「簡単すぎるクソコースだ(意訳)」と言われてしまいましたが、女子は泥の乗ったラダーセクションでの転倒が相次ぐレースに、男子は豪雨からの晴天で超難しいコンディションとなり荒れたレースになりました。

通常はフルサス使用率が高い男子でも、ここAlbstadtではMathias FlückigerNino SchurterMathieu van der Poelなどトップ選手がハードテイルを選択していた点も興味深いです。他のワールドカップコースのような「エグい」セクションが少ないのでしょうね。Anton Cooperが言いたいのはそういうことかも知れません。ちなみに、金曜夕方に開催されるショートトラック(XCC)と日曜開催のクロスカントリーオリンピック(XCO)は同じバイクを使用することがルールで定められています。

あと、ビールの本場・ドイツということもあり、表彰台での巨大ビールも美味しそうすぎて見物。2019年には優勝したMathiasに勧められて渋々ひと口飲むMathieuの姿が印象的でした。今年はコロナの影響でナシかな。。。

気になる天気は、金曜:雨・寒そう、日曜:晴れ、の予報(5/5時点)。

WORLD CUP最多勝を目指すNino

次に勝てばJulien Absalon(2016年引退、現Absolute Absalon監督)が持つWORLD CUP 33勝の大記録に並ぶNino Schurter、もうすぐ35歳。2018年頃から「負けること」の方がニュースとなり、2020年は遂にWORLD CUP・世界選手権ともに勝利ナシ。今年4月に行われたイタリアカップ等でも、Henrique AvanciniやMathias Flückigerに続いての2位が3回と勝利がありません(まぁプレシーズンは勝ちに拘ってないでしょうが)。でも、まだまだ強くて上手い、100% MTBerなNinoが見たい!

Ninoの機材面で注目なのが、遂にドロッパーポストを導入した点。チーム名にSRAMが入っているのに、以前は「ドロッパーポストは未だレースで使うレベルではない」と言っていた気がします。Albstadtは下りがタフなコースではないですが、ますます魅せる走りをしてくれそうです。

<Ninoのバイクを触りまくってチェック>

Elite初レースのPidcock、久々登場のMVDP

普段ロードレースやシクロクロスを観戦している方にとっては聞きなれた名前ですね。2人ともMTBでの実績も凄いです。

Thomas Pidcockは2020年のU23&E-MTBの世界チャンピオン。TRINITY(SPECIALIZED)からINEOS Grenadiersに移籍した今シーズン、ロードレースで使われているPINARELLOはMTBをラインナップしていないことから、BMCのフレーム、サンツアーのフォーク、シマノコンポのバイクに乗ります。昨年までのAbsolute Absalonのパッケージと同じですね。BMCのロゴは消していますが、PINARELLOカラーに塗ったりはしていません(笑)。

プレシーズンは5月初のスイスカップに出て、WORLD CUPヒトケタリザルトレベルのTitouan CarodFilippo Colomboを相手に圧勝しています。WORLD CUPではAlbstadtがEliteカテゴリでの初レースになりますが、最低でも表彰台、あわよくば優勝もありそうな勢いです。UCI ranking上位40名で競う、金曜日のショートトラック(XCC)から登場します。

<BMCをセットアップするPidcock>そして、Mathieu van der Poel(MVDP)。
「マウンテンバイクで東京オリンピックの金メダルを目指す」と公言し続けてきたMathieu。2019年8月にスイス・Lenzerheideで行われたWORLD CUPでの優勝を最後にMTBのレースには出ていないため、最新のUCI rankingに名前がありません。

2018,2019に彼が勝ちまくっていたショートトラックは出場権がなく、159名が出場する日曜XCOのスタート位置はかなり後方になると思われます。しかし、過去にはほぼ最後尾スタートから10位Finishという実績もあります。我々の想像を超えるような追い上げに期待!

** 5/7 訂正 **
特別規定が出ており、PidcockはXCC出場権ナシ、MVDPはXCC出場権アリでした。StartList


女子は若手 vs ベテランの争い

男子のような「Nino vs その他」の構図ではない、誰が勝っても不思議ではない状態が数年続いている女子。

ベテラン枠をあえて定義するならば(みんな年齢的には若いけど・・・)、世界チャンプ経験者のPauline FERRAND-PREVOT('15,'19,'20)、Kate Courtney('18)、Jolanda Neff('17)や、安定して上位に食い込むAnne Terpstraあたり。

PaulineはCANYONからAbsolute Absalonに移籍して、心身ともに充実しているでしょう。この中では抜きんでてると思います。KateとJolandaはプレシーズンでの勝利もあり調子良さそう。AnneはWORLD CUP優勝こそ2019年Vallnordの1回だけですが、どのレースでも安定して上位を走る怖い存在です。

<Kate Courtneyのハードトレーニング>若手注目は、昨年のワールドカップでブレイクしたLoana LecomteEvie Richards、SPECIALIZEDのSina FreiLaura Stigger、今年からRedBullサポートとなったRocio Del Alba GARCIA MARTINEZ

LoanaはXCO、EvieはXCCで優勝争いに絡んでくるでしょう。Loanaは早くビックチームに移籍できると良いなと思います。スペシャの2人に関しては、新加入のSinaが苦労してる感じでLauraに分がある印象。また、EliteカテゴリではないですがMona Mitterwallnerは今後注目の選手です。プレシーズンでベテラン相手に暴れまくっています。

熾烈なオリンピック代表争い

今年はオリンピックイヤー(仮)。注目したいのがMTB大国フランスの男子代表争いです。Albstadtの翌週に開催されるWORLD CUP 第2戦 チェコ・Nove Mestoの後に発表されるようです。

フランスは本当にタレント揃いで、現・世界チャンプ&ナショナルチャンプのJordan Sarrou、表彰台常連の、Victor Koretzky(テクニック抜群)、Maxime Marotte(常にあと一歩で勝てない)、Titouan Carod(地味キャラ)、Stéphane Tempier(超ローケイデンス)などなど。プレシーズンのレースをみると、SPECIALIZEDに移籍したJordanの調子がイマイチ。一方、SANTACRUZ FSAに移籍したベテランMaximeは早くも新チームにフィットして速さを見せています。

東京オリンピック・プレ大会で来日した際の記事で予習しましょう。
☞cyclowired:ニノ、マチューに挑む自転車大国フランスのビジョンと選手たちのコメント

<超ハイレベルなフランス選手権>

TOP3予想

さて、XCO開幕戦Albstadt、わたくしの順位予想をば。
<男子>1位:Mathias Flückiger、2位:Thomas Pidcock、3位:Henrique Avancini
<女子>1位:Loana Lecomte、2位:Pauline、3位:Kate Courtney
としておきます。

私のブログ過去記事「READY STEADY TOKYO マウンテンバイク参加選手 Instagram リンク集」を参考に、開幕戦までの選手動向を見ると面白いと思います。

RedBull TVにてLiveアリ。週末が楽しみです。
・5/8 00:20~ ショートトラック(XCC)
・5/9 18:00~ 女子XCO
・5/9 21:15~ 男子XCO